工業用ブラシ
工業用ブラシについて
チャンネルブラシ
チャンネルブラシは毛が隙間なく密集しているのが特徴です。その為、狙った範囲をくまなく掃き掃除をするブラシに用いられたり、隙間を塞ぐ防塵ブラシに使われたりします。またチャンネル部を曲げて加工する事も出来る為、例えばらせん状にシャフトに取り付けてロールブラシに加工する事も可能です。この時チャンネル同士に間隔を空けずに巻けば、打ち込み式では成し難い『密』なブラシにする事も出来ます。構造そのものはシンプルながら使い先はかなり幅の広いブラシタイプです。
※少し前まで東京近郊に高度な技術を持たれたチャンネルブラシの職方がいらっしゃいました。残念ながら2023年にご勇退されたのですが、上の写真の3品はその技術を引き継がれたお弟子さんによる製品です。これほど細く長いロールブラシも今となっては珍しいかもしれません。随処に高い技術力が垣間見え、この先が本当に楽しみです。
#2 チャンネルブラシ
#1 チャンネルブラシ
手植えブラシ
数多あるブラシの製造方法の一つに『手植え植毛』が有ります。見かけ上は歯ブラシなどと同じ打ち込み式のようですが…実は違います。こちらは素材の裏側から針金を通し、毛を編み込むようにして植毛する職人の技です。東京近辺では伝統工芸品としての手植えブラシが有名であったりするのですが、実は工業向けでも多く用いられる手法でもあります。無条件とまでは行かないものの、通常では加工し難い素材や形状であったとしても、この方法であれば対応可能であったりするからです。
例えば打ち込み式は金属線を素材に食い込ませて毛を留める手法ですが、対象が金属の場合は線が通りません。つまり毛が植わらない訳です。しかし手植えであれば、素材に裏穴を空けさえすれば金属でもブラシ植毛が可能です。
また機械では扱い難い素材を毛として用いたりする場合にも有効な手法です。写真のブラシがその代表格で細い銅線を毛として密に植えた品です。細い銅線は機械では扱い難い部類ですし、それを密に植えるのもまた機械ではやり難い部類です。
人の手ならではの万能さ。機械を超える職人の技ですね。